第13回 舟に乗って行こう!湯の島のカタクリ祭り (2009/4/27)
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取材日:4月17日(金)   青森県青森市浅虫


青森市浅虫は、平安時代に円光大師(浄土宗の開祖:法然)がこの地を訪れた際、傷を負った鹿が温泉に入浴しているところを偶然見かけて、村人たちに湯治を教え、その後温泉街として栄えてきたと言われています。また、浅虫という地名は、製糸のために麻を温泉で蒸していたことから、「麻を蒸す」が転じて「浅虫」となったと言われています。

さて、この浅虫は陸奥湾に面しており、夏には多くの海水浴客で賑わうのですが、楽しめるのは夏だけではありません。4月初旬〜下旬は、「湯の島(ゆのしま)」に群生するカタクリが見頃を迎えるのです。

 
  

「湯の島」は、沖合い800mほどのところに浮かぶ小高い円錐(えんすい)形の島。普段は無人島で、カタクリの花の咲く時期だけ島に渡る船が出ます。海水浴場駐車場に船着場が設置されるので、受付で渡航料を払って船に乗せてもらいます。(渡航時間は5分もありませんが、念のためライフジャケットを着用してくださいね。)

 

陸奥湾に面した浅虫では、「湯の島」は水の神様でもある「弁財天」を祀る神聖な島でもあります。島の正面には赤い鳥居が立ち、島の中腹にあるお宮までは96段の階段が続いています。さて、湯の島は周囲が約1.7kmと小さな島ですが、標高が132mと小高い丘状態となっています。カタクリは島の斜面のいたるところに咲いているので、見学の際は頂上まで続く散策コースが用意されています。が!スタート地点から早速傾斜が厳しい!なので、スタート地点では杖代わりの木の枝や竹などが無料で貸し出されています。

 

さあ行くぞ!とスタート地点に立つと、中腹から群生していると聞いていたカタクリの花が、すでにいくつも咲いており、厳しい斜面にへこたれそうになっていた心を和ませてくれます。頂上から見る景色はどんなだろう?と、楽しみにもなります。

  

散策コースは、道幅が狭く片側は斜面になっているので、ちょっと脇に目をやると木々の間から青い海が見えます。海風が爽やかに吹き込む中で見るカタクリの花なんて、ちょっと贅沢な気分にもなりますね。
また、海とは反対側に目を向けると斜面に咲いたカタクリの花が目の高さに咲いていて、下を向いて咲いているためなかなか見られないカタクリの花の正面を、バッチリ見ることが出来ます。

散策コースには何か所か見所があるのですが、その地点ごとにボランティアガイドが常駐しており、丁寧に解説してくれます。ガイドさんに教えてもらって初めて知ったのですが、カタクリの花の一生ってどのくらいの期間があるかご存知ですか?種が土に着床してから命を終えるまで、約15年なんですって!芽吹くまでに1年、最初は単葉で育っていき、7〜8年後に花が咲く頃に双葉になり、1週間ほどの花の命を終えると種を育てるために更に7〜8年生きるのだそうです。こんなに可憐で小さな植物が、厳しい自然のなかで長い時間をかけて命のリレーをしている・・・。ひたむきな生き方に、感動させられてしまいました。

 

ちなみにガイドさんが教えてくれた豆知識をもうひとつ。カタクリの花は内側に3枚、外側に3枚の6枚の花びらだと思いがちですが、実は外側の3枚は萼片(ガクヘン)で、花びらではないのです。花を楽しみながらこういった豆知識を得られるのも嬉しいですね。

この「湯の島」のカタクリ見学コース、距離としてはそれほど長くはないのですが、先にも紹介したようにとにかく斜面の傾斜が厳しいので、登っていくのが結構厳しい!ですので、途中地点でカタクリの花や湯の島について解説してくれるガイドさんの存在がとても嬉しく感じます。

 

さて、今年の見所はふたつ。山の頂上から見るカタクリの花の絨毯と、中腹に咲いた「白いカタクリ」の3姉妹。通常、カタクリの花は紫色をしております。仲間に「キバナカタクリ」という黄色いものもありますが、この「白いカタクリ」は突然変異で、理由は分らないけれど白い花弁になったものとのことです。これは10万本に1本あるかどうか、という自然現象なので、今年のように3本もの「白いカタクリ」が寄り添いあうように固まって咲いているのは本当に稀なことなのだそうです。紫色のカタクリの花よりも、なお一層可憐に見える真っ白なカタクリが見れて、とてもラッキーでした。

  

撮影しながらゆっくりと30分ほどをかけて頂上に到着!ここにもガイドさんがいらっしゃって、湯の島に生きるカタクリ以外の植物のお話など、たくさん聞かせてくれました。湯の島ではまず南斜面からカタクリの花が咲き、日照の関係で少し遅れて北側の斜面が咲いていくそうです。頂上から斜面を見下ろすと、小さなカタクリの花が斜面を覆う絨毯のように咲いていました。頂上にも珍しい「白いカタクリ」が一輪咲いていました。珍しいはずの「白いカタクリ」が今回4本も見られたのは、やっぱりこの「湯の島」はたくさんカタクリの花が咲いているという証拠なのでしょうか?カタクリの花に混ざってふきのとう(つがる弁では「ばっけ」)の伸びたのや、白くて小さな花が可愛いオトメエンゴグサ、ちょっとびっくりトリカブトなんかも生えています。無人島のため人の手が入らずに自然のままの風景に、しばし心が和みました。

  

戻りの散策コースでも、時折斜面を見上げると見事なカタクリの群生が目を和ませてくれますし、登りの時には気づかなかったポイントも。激しい海風に倒れた木や、倒れかけの木の根っこで出来た空洞など、面白い風景がいっぱい。そしてのびのびと育ったケヤキや黒松の大きさや太さに感嘆の声が上がります。ガイドさんが教えてくれた、弁財天宮の隣に立っていたケヤキの大木は樹齢450年ほど。幹周りは一番太いところで55mほどにもなるそうです。湯の島から浅虫を見守り続けたこのケヤキの樹。長い時を経て生きる姿は、どこか神聖で清清しい気持ちにしてくれます。

「湯の島」カタクリ祭りは、毎年4月初旬頃から下旬頃にかけて開催されています。散策コースは斜面となっておりますので、履き慣れたスニーカーなどの運動靴と動きやすい格好での散策をおすすめします。なお、渡し船が出るのは午前9時から午後3時までで、受け付けで渡航料を払えば、お客様が来次第いつでも船を出してくれます。(1名様からでもOKです!渡航料1,000円には保険代が含まれ、一部は自然保護のために利用されています。)
海が荒れている時は安全のため渡航できない場合がありますので、事前に(社)青森観光コンベンション協会浅虫支部さんに問い合わせてから来訪されることをおすすめします。(電話:017-752-3250、午前7時から電話問合せ可能)。

来年の春は、ぜひカタクリの花を愛でに浅虫へやってきてはどうでしょう?カタクリの自生・群生地はいろいろとありますが、船で渡った島にあるというのは珍しいのでは?また、ここ湯の島は小高い丘になっているので斜面にカタクリが生えています。ですので、小さなカタクリの花もしゃがむことなく目線の高さでじっくり愛でることができるのも珍しい!親切で楽しいボランティアガイドさんが、あなたをお待ちしております!

さてさて、今回の津軽衆の豆知識は、浅虫名物『久慈良餅(くじらもち)』。青森土産にされることも多いので、知っている方もいらっしゃるのでは?
「鯨餅(くじらもち)」が名物の青森県鰺ヶ沢町から移住してきた方が、「鰺ヶ沢とは違うお菓子を」と考案したのが最初といわれ、100年ほどの長い間津軽衆に愛されてきたお餅です。

「幾しく、お客様にしまれるいおあるように」
という願いが込められた名前の、米粉にこし餡とクルミを混ぜたものを蒸したお菓子は、モッチリとした粘りとあんこの優しい甘さ、クルミの香ばしさとカリっとした食感がたまりません。ずっしりと持ち重りのするサイズなのに、1本400円くらいと安価なのも魅力のひとつ。
大勢で切り分けて食べる時は、このクルミが乗っている部分の争奪戦になります。スタッフKが子どもの頃は、これを独り占めして1本まるごとかじりつきたい・・・なんて思っていました。(笑)
この浅虫名物『久慈良餅』は、4件のお店で作られています。それぞれに少しずつ味わいが違うので、4件の食べ比べなんていうのも楽しいですよ。
浅虫で温泉や海水浴、カタクリの花を楽しんだ最後には、『久慈良餅(くじらもち)』をお土産に買う!というのが、津軽衆の定番です。
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