第14回 豊作を願う、御田植祭(おたうえさい) (2009/6/29) 
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取材日:6月3日(水)   青森県平川市


本コーナー内にこれまで何度か登場している猿賀神社は、津軽の信仰の中心として古くから尊崇を集めてきました。
その猿賀神社で毎年春に行われているのが『御田植祭(おたうえさい)』。
弥生時代中期頃から稲作文化のあった津軽地方は、各時代を通して農地開発に取り組み収量をあげる努力をしていたようですが、寒冷地であるために冷害による飢饉に遭うことも近年まで多くありました。そんな中、猿賀神社で1932年から豊作祈願の『御田植祭』が毎年行われるようになり、今年で78回目を迎えました。

 

午前10時より、まずは猿賀神社拝殿にて祭祀が行われます。昔ながらの脚半(きゃはん)、手っ甲(てっこう)の白装束に花笠姿の早男(さおとこ)と早乙女(さおとめ)、氏子代表の方などが参加します。厳かな雰囲気に、拝殿の中での祭祀の写真を撮るのがためらわれました。

 

拝殿での祭祀が終わると、蓮池を囲むようにある歩道を通り、山谷宮司を先頭に近くの神饌田(しんせんでん)に向かいます。以前、猿賀神社の『蓮池』で行われる蓮根堀りをご紹介しましたが、蓮根堀りをされている清藤清治さんが所有・管理する田んぼが現在の神饌田だそうです。この日、祭祀での捧げ物の中には蓮池から掘った蓮根もありました。

  

神饌田に到着してびっくり。田んぼには神棚(というのでしょうか?)が設置され、田んぼをぐるりと縄と紙垂(しで)で囲んであり、これが単なる『田植え』ではなく、祈りとともに神様に捧げられる神事なのだということを実感しました。

 

田植え前の祭祀が始まると、祈りのなかでとても静かで厳かな気持ちになっていきました。いよいよ田植え、という段階になると、まずは奉仕する早乙女・早男が一列に並び、ぐるりと神饌田の周りを1周半まわりました。
田植えスタート位置に早男がくると立ち止まり、植える位置の目印をつける器具を田んぼに下ろし、反対側の端まで押していきます。すると表面に線が現れます。この線を目印に、まっすぐ1列植えることが出来るようになるのです。

  

まずは山谷宮司がお手植えされ、その後早乙女達が田んぼに入り、田植えを開始。猿賀神社の御田植祭では、近くの猿賀小学校の児童が参加するのですが、今年は4名の女子児童が参加しました。大人でも慣れない手植えは難しいものですが、一株一株しっかりと丁寧に植えていき、時折後ろを振り返って植えた列が曲がっていないか確認しながら植えている姿は、真剣そのもの。子ども心にも、この行事が大切なものであることが分かっているようでした。

 
 

また、猿賀小学校5年生の児童たちは、早乙女としての田植えの参加だけでなく、『田植え歌』の合唱と演奏で参加しています。元気よく歌う歌声、リコーダーとピアニカで一生懸命演奏する児童の姿は、とても可愛らしくほがらかでした。この日は近所の方々も見学に来られていたのですが、見学していた方も一緒に歌っておられました。猿賀小学校に通っていた頃に、やはりこの御田植祭に参加することで覚えられたそうです。実は私スタッフKは、小学校どころか高校の校歌すら思い出せないようなタイプなので、こうして大人になっても歌えるというのはすごいな、と感心してしまいました。

 

田植えが終わると、ふたたび祭祀が行われて神饌田での田植えが終わり、再び山谷宮司を先頭に一列になって猿賀神社へ戻り、今日の祭祀が終了となりました。
この御田植祭で植えられた米は『ユキミモチ』というもち米です。9月下旬頃に『穂刈(ほかり)祭』が行われ収穫を迎え、11月の新嘗祭を最初に、年間の祭祀で使用されるそうです。

 
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