発見!まるごと津軽の風物詩

第4回 16回目は「恵比寿様と大黒様」!
            田舎館村田んぼアート【前編】 
(2008/06/27)
画像をクリックすると拡大画像が見られます。
※一部拡大できない画像があります。

取材日:6月1日(日)   青森県田舎館村
青森県内だけではなく全国的にも有名になった、青森県田舎館村の「田んぼアート」。村おこしの一環として始まって、今年で16年目となりました。
これまで、青森県津軽地方のシンボルともいえる「岩木山」や有名な絵画を題材に、様々なアートを田んぼに再現してきました。
今年のデザインは七福神のなかでも馴染み深い「恵比寿様」と「大黒様」。
景気低迷が続く青森県、ひいては日本の景気回復を願う気持ちと、明るい未来を期待する祈りが込められて決定されました。








今回は「田んぼアート」始まって以来、一番遅い田植え日の6月1日(日)でした。田んぼアートに使用する田んぼは、田舎館村役場の隣にあります。田舎館村役場は地元でもかなり目立つ「お城」風のユニークな建物で、開会式前からたくさんの方が集っていました。



この日は気温も低くあいにくの雨でしたが、約1,500人の参加者が集い、機械を使わない人の手による田植えが行われました。完璧な農作業用雨カッパを身につけている方もいれば、通勤・通学時に使うようなワンピース型の雨カッパを身につけてる方もいらっしゃり、足元が裸足の方もいらっしゃいました。(気合十分ですね〜!)


この田んぼアート、16回目を迎えると先にお話ししましたが、きっかけは20年ほど前「何か村おこしをしよう!」という話があがった時に、村の歴史から「田んぼアート」に決まったそうです。
田舎館村は垂柳遺跡が発掘さているように、約2,000年ほど前の弥生時代から稲作が行われていた地域であり、北方水稲文化発祥の地といわれるほど古くから稲作に関ってきました。現在でも稲作に携わる方が多くいらっしゃる、「米の村」ともいえる地域です。また、古代から現代の稲まで収集・研究している方もいらっしゃり、古代の稲は緑以外の色の稲もあることから、その稲を使って田んぼに絵や文字を書いてみよう、というアイディアが生まれたそうです。

「田んぼアート」が始まった当初は、稲の種類も3種類ほどで、デザインの線も直線が多い簡単な図案でした。回を重ねるたびに複雑なデザインになっていきましたが、今回の「恵比寿様と大黒様」はこれまでで一番複雑なデザインではないでしょうか。(大黒様の足元の米俵や襟元の模様、恵比寿様の足元の波の様子など・・・。)



そして使用する稲の数も増え、種類がなんと5種類!現代のお米「つがるロマン」(緑色)、古代米の「黄稲」(黄色)、「紫稲」(黒に近い紫色)、「紅都」(赤色)、そしてまだ名前がついていないのですが、色素が薄く白く見える色の稲を使用します。(「紅都」と「色素が薄く白く見える稲」の2種は、デザインの複雑な部分に使う稲のため、既に前日に田植えが終了しており、今回撮影できませんでした・・・。残念!)



田舎館町役場隣の田んぼ2枚(計約1.5ヘクタール)に、それぞれ左に大黒様、右に恵比寿様を描きます。今年のデザイン発表は4月21日でした。デザインが決まるまで、そして決まって以降も準備が大変だという田んぼアート。デザインを起こすとき、村役場にある展望室から見たときに一番良く映える状態を、遠近法を使用して計算しデザインを起こしていきますので、とても苦労するそうです。また、年々デザインがち密になっていきますので、田んぼのどの部分にどの稲を植えるのか区切るブロッキングもまた、大変な作業のようです。

県内外から集まる田植え参加者ですが、年々県外の方が増えているそうです。というのも、有名になったこの「田んぼアート」をひとめ見ようと夏に観光に来られた方が魅了され、「ぜひ次回には自分も参加したい!」という気持ちになるのだそうです。(昨年の見学者は約24万人だそうです!) そんな遠方から駆けつけた方も多い中、あいにくの冷たい雨でしたが、田んぼからは楽しそうな笑い声がたくさん届き、カメラ片手に撮影している私も参加したくなったほどでした。
なお、田んぼで田植えをしている間、村の登山囃子保存会の方々や相撲甚句保存会の方々の生演奏があり、花を添えていました。また、昼食に暖かい豚汁やおにぎりがふるまわれ、雨で冷たくなった体も温まり、楽しい田植えが終わりました。

そして、田植えから19日目の6月19日の田舎館村の「田んぼアート」の様子です。今回は左側の田んぼだけでごめんなさい!うっすらと「大黒様」の姿が浮かび上がってきました。(※画像は拡大できません。)
どうぞ、みなさんも青森にこられた際は田舎館村まで足を伸ばしてみてください。そしてぜひ、「田んぼアート」をご覧になってくださいね!


【田んぼアート】
会 場 青森県田舎館村役場 東側水田
見ごろ 7月中旬〜8月初旬   ※稲刈りは2008年10月5日(日)
一般開放 田舎館村役場6階展望室の一般開放 
2008年6月14日(土)〜2008年10月5日(日) 
午前9時〜午後4時30分
※上記期間中は土日祝日も開放しています。
※見学は無料です。

展望室(通称:天守閣)

「田んぼアート」についてもっと詳しく!ということで、今回の豆知識は田んぼアートの歴史を掘り下げます。
「田んぼアート」が田舎館村で始まったのは、16年前の1992年。最初は青森県内でじわじわと話題になって広まっていったのですが、今から6年前の2002年、NHKBS2の『熱血!ふるさと対抗千人の力コンテスト』で取上げられ放送されたことから、全国的に有名になりました。その時の田んぼアートは『岩木山と月』。岩木山の稜線(りょうせん)を実り豊かな稲穂で表現し、夜空にぽっかり浮かんだまるい月があたたかな印象のアートでした。

それでは、これまでの歴代田んぼアートを一挙公開!!(※画像は拡大できません。)

2002年 2003年 2004年
『岩木山と月』 レオルド・ダヴィンチの
名画『モナリザ』
棟方志功の
『釈迦十大弟子羅ご羅の柵』と『山神妃の柵』
2005年 2006年 2007年
江戸時代の名浮世絵師の喜多川歌麿『歌撰恋之部・深く忍恋』、東洲斎写楽『二代大谷鬼次の奴江戸兵衛』 俵屋宗達
『風神雷神図屏風』
 葛飾北斎の『富嶽三十六景』の『神奈川沖浪裏』と『凱風快晴(赤富士)』

皆様、アートが年々複雑になりつつも滑らかな線使いで新化しているのが分りますでしょうか?私スタッフK、個人的には2006年の『風神雷神図屏風』が大好きです。ち密なデザインの再現が素晴らしいのですが、それに加えて田んぼから風神と雷神が飛び出してきそうな躍動感があって、とても好きなのです。
昨年の『富嶽三十六景』の『凱風快晴(赤富士)』については、富士山の角度が北斎の描いた角度と違うという批判がありましたが、それは地上から見た場合と航空写真で見た場合に見える形なんです。田舎館村役場6階にある展望室からみた場合は、葛飾北斎が描いたのと同じく見えるこの不思議!まさに、「展望室から見たときに一番映える角度」で計算されて稲が植えられていることから起こった現象でした。
さてさて今年のデザイン、『恵比寿様と大黒様』は、果たしてデザインどおりに出来上がるのでしょうか!?秋にはまた、結果を特集したいと思います。お楽しみに!
          
          ※画像提供:田舎館村ホームページ(歴代の田んぼアート完成図)

つがるの風物詩 一覧に戻る≫
▲ページTOPへ