発見!まるごと津軽の風物詩

第8回 北限の和蓮・猿賀神社の蓮池  (2008/09/19)
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取材日:7月15日(火)〜9月6日(土)   青森県平川市


本コーナー第3回目の更新(「由緒ある神社でレンコン掘って30年」)でも取り上げた「猿賀神社(さるかじんじゃ)」は、約15,000坪の広大な敷地の中にふたつの大きな池があります。猿賀神社は目の守護神としての信仰を集めていますが、その中心が「鏡ヶ池」とも言われています。目に悩みのある人が願をかけると池の魚に病が移るという伝説もあるそうです。
その「鏡ヶ池」一面には、夏になると自生種としては北限と言われる和蓮が咲き誇ります。

取材@:7月15日(火)
「鏡ヶ池の蓮が咲いたよー」という同僚の声に、意気込んで猿賀神社に向かったところ・・・まだ咲き初めの段階で、ほとんどがまだ蕾の状態でしたが、ふっくらと開き始めた可愛らしい花を見つけました。何枚もの大きな蓮の葉っぱが元気良く伸び、鏡ヶ池の表面を覆いつくしています。もう水面が見えないくらいです。

 

花はあまり咲いていませんでしたが、この日は発見がありました!皆さん、蓮の葉っぱの生え方(開き方?)をご存知でしたか?私スタッフK、これまでの人生●十年、知りませんでした!水面から真っ直ぐのびた茎の先に、葉っぱが丸まって細くなり、垂直になっているんです!それが開くと、雨傘になりそうなあの葉っぱの形になるんですね・・・。デジカメ片手に新発見、思わず「ほぉー!」と声を上げてしまいました。花が少なかったのは残念でしたが、その元気の良い葉っぱ達に生命力を感じ、元気を貰って帰りました。

    


取材A:7月22日(火)
もうそろそろ花が咲きそろったかしら?と、前回の訪問から1週間後、再び猿賀神社へ。
見事に咲いていました!まだまだ蕾のもの、花が散ってしまったものもありつつ、淡い桃色の花がきれいに咲いていました!葉っぱの背丈が高いので、花を隠してしまうところもありますが、それでも池を覆い尽くす葉っぱの合間にぴょこぴょこと見える桃色の花が、とても可憐で可愛らしく思えます。大きなもので20センチくらいもある蓮の花ですが、池に掛かる橋の上から見渡すと、風に揺れる様子などがとても可愛らしく目に映ります。
 
蓮の花は、アジア圏の宗教では象徴的な存在として登場します。仏教では蓮の花の上に瞑想するお釈迦様の姿が像に刻まれていますし(蓮の花は極楽浄土の象徴だそうです)、ヒンズー教では「欲から離れ清らかに生きる象徴」として経典内で蓮をが何度も出てくるそうですし、古代インドの女神の格付けで最高位の「パドミニ」は「蓮女」と書きます。まっすぐに池から伸びてふんわりと柔らかそうな花びらを開く姿が、気高く清らかなものに映ったのでしょうね。

蓮の花が咲き誇る「鏡ヶ池」の周囲を散策していた時、思い出したことがひとつ。毎年8月13日に父と祖父に連れられてこの蓮池に遊びに来ていたなあ、と。8月13日は、我が家ではお墓参りに持っていく折り詰めの準備や里帰りする父の弟妹達を迎える準備で、母と祖母は大忙しの日。そんな忙しい時に小さい私が彼女らにまとわりつくと邪魔だというので、父と祖父がちょうど見ごろの蓮池に私を連れて行っていたのです。それは私が台所仕事を手伝えるようになるまで、毎年続いていました。懐かしい思い出です。

取材B:9月6日(土)
久しぶりに「鏡ヶ池」に来てみると、もうすっかり花も終わってしまい、池には青々とした葉っぱと花托のみとなっていました。たくさん花の咲いていた時期を思い出すと少し寂しい気持ちにもなりましたが、それでも青々と池に広がる葉っぱ達を見ていると、「たくましいなあ・・・」と思わされます。
 

ちなみに。池のほとりに立ってみると、葉っぱの背の高さに驚かされます。池の中ほどにあるお社や朱塗りの橋が見えないほどです。レンコン掘りの時と比べると、景色が全然違います。
スタッフK、池のほとりに立って葉っぱと背比べをしてみたところ負けました・・・。スタッフKの身長が約150センチ程度なのですが、池の表面から葉っぱの茎が150センチ以上伸びているんですね。もちろん水面下から伸びているわけですから、「どれだけ茎が長いんだ!」と、これまた感心させられます。

 
        9月の蓮池                  4月のレンコン掘りの時の蓮池


そうそう。ここで豆知識をひとつ。
蓮を「はちす」とも呼びますが、これは蓮の花托が「蜂の巣」に似ていることから来たんだそうです(花托の表面にあるプツプツが蜂の巣に似ていませんか?)。「はちのす」→「はちす」→「はす」といったところでしょうか。日本語って面白いですね。

さてさて。第3回目の更新と合わせて2回にわたって、季節を伝える「鏡ヶ池」の様子をお知らせしてきましたが、猿賀神社には他にも見所があるんです。
それは、本県由来の文化人の句碑や憲章碑がいくつかあること。
例えば、津軽三味線の奏者・福士政勝氏(猿賀神社のある尾上地区出身です)を称える碑や、高浜虚子氏が津軽の俳人・増田手古奈氏を訪ねた際に猿賀神社に立ち寄り詠んだ句碑、山口誓子氏の実妹で「尾上まるめろ句会」を指導教育した下田実花氏の句碑などがあります。(高浜虚子氏の句碑は逆光でうまく撮れませんでした・・・。) 
古来から津軽地方をはじめ広く東北地方の信仰を集めた猿賀神社を参拝してその歴史に触れるのも良し、鏡ヶ池の季節ごとの表情を楽しむのもよし、他にはどんな碑が置かれているのか探してみるのも良しと、なかなか味わい深い神社なのです。

      
        高浜虚子の句碑        福士政勝の碑
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